RPA導入による効果は、副次的に発生するものも含めると多岐に渡ります。
この点を意識しながら導入推進していき、RPAを業務全体・事業全体の中の1施策として位置づけることにより、効果の最大化が狙えます。
目次
1.業務時間の削減
多くの企業がRPAに期待するメインの効果となります。
- データ登録
- システム間連携
- 一覧から明細ファイルの作成
- Webからの情報収集
- 大量の反復作業
- 月次定型業務
- 二重入力
このような定型業務を洗い出し、ロボットに置き換えることで、業務時間を削減できることとなります。
2.業務・サービスの品質の向上
まず、「ロボットなのでミスがない」という点で品質の向上が期待できます。
それに加え、「ロボットがチェックする」、「忘れがちな業務をロボットが定期的に行う」ことにより、漏れの防止、品質向上を狙うという使い方も頻出します。
ロボットがチェックする
- 残業時間が一定時間を超えている社員リストを抽出
- システムに業務時間外にアクセスしている社員リストを抽出
- 二重仕訳の可能性がある仕訳を抽出(同一日付・同一金額などの条件で抽出)
- アイテムごとに在庫数が一定数以下になった場合に、担当者にアラート送信する
- 必ず数字が合っているべき項目のうち、不一致のものをリストアップする。
- 異常値をピックアップする。
- 登録データのクレンジングを行う(全角半角、スペース有り無しなど担当者ごとにバラつきが出る可能性がある項目をチェック・修正する等)
- 年末調整書類未提出、健康診断未受信など未対応の社員リストを抽出
- 進捗が遅れているタスク・案件などを抽出
忘れがちな業務をロボットが定期的に行う
- 一定期間経過後にリマインドメールを送る
- 取引先の創業記念日にお祝いメッセージを送る
3.意思決定の質の向上
中小企業では、上長が不定期に「残高教えて」などレポートを求めるケースが多く見られます。
不定期、突発的、思いつきによるチェックは、デメリットしかありません。
①対策を打つための適切なタイミングを逃している可能性がある
②「他の仕事があるのに・・・」など部下が不満・ストレスを抱える
突発的な依頼についての不満・愚痴は、上長が想像している以上に大きいものです。
極力避けましょう。
RPA導入を機に、チェックしたい情報、頻度など整理し、適切なタイミングで適切なレポートを取得し、意思決定や施策の質を上げることも狙いましょう。
- 各種予実分析、各種KPIチェック
- 入金情報確認
- 売上速報確認
- 事業部別売上確認(店舗別、営業員別、販売チャネル別 等)
- Webから競合の在庫情報を取得し、自社在庫と比較(仕入れ目標策定のインプットとする)
- Webから競合の価格情報を取得する
- 自社サービス・事業への新規口コミ・書き込み情報を取得する
- ベンチマークしているWebサイトが更新されたら通知を飛ばす
- Googleアナリティクスからデータ抽出し、広告効果測定を行う
攻めのRPA活用も意識しましょう!
また、原価管理をきめ細かく行い、製品別・事業部別・案件別などの採算評価の精度を上げることにもRPAが活躍します。
案件ごとの採算評価が不十分で、損益をグロスでしか捉えていない企業が多い業界もあります。
これは経営上、極めて深刻な課題ですので、データ化・集計する仕組みを作り上げる必要があります。
原価管理を行っている企業でも、細かな数字まで割り振るのに時間を取られてたくないという理由で、よりきめ細かく行う余地があります。
RPAで自動化することにより、原価管理を理想形に近づけることができます。
4.人材の育成・定着
RPAによる自動化を進めると、人材の育成・定着にもつながっていきます。
①単純業務が減り、付加価値の高い業務により時間を充てることができるようになる
単純業務は社員にストレスを与えるものとなります。
「ミスできない」 「この仕事、自分がやらなければならないのか」 「もっとスキルを身につけたいのに・・・」
反対に、個人差はあるものの、創造的・付加価値の高い業務には多くの人がやりがいを感じるものです。
ストレスから解放され、今まで以上にやりがいを感じられる。
これが人材の定着に繋がっていきます。
②RPA担当者のスキルが上がる。
RPA担当者はロボットを作っていく中で、Microsoft Officeの操作、ITに関わる各種調査など自然とITスキルが上がっていきます。
また、人によっては、ITスキルのみならず、業務システムや業務フローのあるべき姿を提示できるようになるなど、業務改善のスキルを身につけ、貢献される方も出てきます。
RPAを通じて大活躍する社員はどの企業でも一定数います。
ピックアップして、皆の前で褒めていきましょう!
③緊急性は低いが重要度が高い業務に時間を充てられる
面談は、社員の状態を把握する、社員の成長ポイントを確認し合う、各種取り組みの意図をしっかりと理解してもらう、など様々な効果をもたらすもので、定期的に実施することは強い組織を作る上で重要な施策です。
しかし、通常業務で精一杯という状態になってしまうと、つい後回しにしがちです。
このような、緊急性は低いが重要度が高い業務を増やすことも意識していきましょう。
5.業務の見直し
「インプット・アウトプットのフォーマットが複雑過ぎる」 「人によりやり方がバラバラ」
RPAによる自動化を進めていくと、必ず業務そのものを見直さないと先に進まないということが出てきます。
これは、RPAは業務改善のきっかけとなる、とも換言できます。
RPAは生産性向上の1つの手段です。このきっかけを活かすことにより、RPAによる自動化プラスαの効果が期待できます。
また、RPA導入する中で、使用している業務ソフトの仕様を深く理解し業務効率化に繋がることもあります。
業務ソフトを操作する際、自分が知っている範囲内で操作することが多々あります。
結果として、「実はこれはcsv出力できる」「こんな絞り込み検索ができる」などRPA導入の過程で便利な機能を初めて知るという場面を何度も見てきました。
システムから給与明細を作成できることを知らずに、手動で給与明細を作成していたという事例もありました。
でも現場の方を責めるべきではありません。
業務の見直しをしてこなかったからこそ残ってしまった非効率です。
更に、企業によっては、誰も見ていないレポートを作成している、他社から来たメールを他部署に転送するだけの業務が存在しているなど、明らかな無駄を発見することもあります。
定期的な業務の見直しを行っていない企業では特に、形骸化した業務、非効率な業務などが引き継がれ肥大化していくものです。
RPAを起点にたくさんの改善点が出てくることとなります。
RPAによる自動化が進めば進むほど、効率化しようという機運が高まります。
継続的に効率化する気運、それを積極肯定する文化を作り上げ、生産性向上に向けた取り組みを揺るぎないものにしていきましょう!
6.採用への好影響
お客様の中で、同業他社を遥かに上回る応募がある企業があります。
採用ページやメディア露出する際に、AIやRPAなどIT投資を積極的に行い効率的な業務を実現していることを積極的にPRされ、これが採用に繋がっている要因の1つとなっています。
このように、RPAで効率化した先にある効果もイメージできていると、効果をしっかりと刈り取ることができるようになります。